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らくご らくご らくごの国の 住人は
いろいろおります こん名のが

八っつあん 熊さん そして 岩田のご隠居さん
ちょいと お馬鹿な 与太郎さん


それ名ら それ名ら こん名のはご存知ですか?
お殿様なら もちろん この人 このお方
名君 赤井御門守(あかいごもんのかみ)

 
ケチと言ったら 赤螺屋(あかにしや)
その名もズバリ 吝兵衛(けちべえ)さん

 
ねずみ小僧の 末裔で
泥棒だったら いたち小僧の 才五兵衛(さいごべえ)
 

 
藪医者は 藪井竹庵(やぶいちくあん)先生で
迷う方の迷医なら この人有りの 
甘井養寛(あまいようかん)先生だ

それから それから 下っ端侍 A B C
山坂転太(やまさかころんだ)
石野地蔵(いしのじぞう)
そして 北風寒右衛門(きたかぜさむえもん)


よくもつけたり 名付けたり 
らくご らくご らくごの国の 住人は
おもしろすぎる名 変名だな

あぁ それにつけても 糊屋の婆さん
今日も元気で いるだろか

さてさて 花魁だったり 若旦那
長屋の人々 お職人 按摩さんとか
お坊さん・・・


居残りの 佐平次みたいな 
粋な名も たくさん居ります
住んでます

らくご らくご らくごの国の 住人は
おもしろ過ぎる名 変名だな
えー、お後がよろしいようで・・




 

堀之内                                           やくよけ祖師 妙法寺

構成・ハマダテツジ 絵師・飯田 茂
                                     絵をクリックすると拡大します


「ちょいとおきておくれよ。お前さん。粗忽っかしいのを治しに
 堀之内のお祖師さまに行くんだって、そういって昨日寝たんじゃないか。
 さっさと顔洗っちまいなよ」
「分かってるよ、顔を洗えばいいんだろ」
「そう、金盥は台所にあるからね。お櫃の蓋持ってどうすんの。
 それは薬缶。それは金魚鉢。それは、笊だよ

どうりで水が溜まらねぇ
「さぁ、顔を洗ったら顔を拭いて。それは、布巾。そりゃ、雑巾。それは猫。
 そら、ご覧、引っ掻かれた。さぁ、ぐずぐずしてないで、早く行ってらっしゃい!」


「あのォ
「はい、何です」
「私は何処へ行くんでしょうか?
「分かりませんよ、そんなこと」
「あっ、そうだ、粗忽っかしいのを治してもらいに・・
「それなら医者かい?信心かい?」
「信心・・・、それだ、信心だ。南無妙法蓮華経〜」
「というと法華経だね。堀之内のお祖師さま」
「そう、そう、堀の内のお祖師さま!」

だったら、この鍋屋横丁からもうじきですよ


「大分賑やかになってきたね・・済みませんお祖師さまは此処ですか?
「そうですよ」
あんたが、お祖師さま?南無妙法蓮華経〜

「私を拝まないでください。違いますよ。変な人だね
 ご本堂はこの先ですよ。
 ところで、何をお願いに来たんです?」
「頭の字が『そ』って言うんだ。『そそっ』判るかい?」
「判らないよ、そんなの。早くお参りしていらっしゃい」


 「エ〜、拝むのには、まず何から・・・そうだ、お賽銭だ。
 ヨオッーと。いけねぇ、蟇口ごと放っちゃった。参ったな
 お釣ください。お賽銭のお釣りってのは貰えないんですかい?」
「まあ駄目でしょう・・」
「駄目かぁ、いけねえな、俺は、粗忽っかしくて。
 お祖師さま、蟇口放ったのは私ですから、
 十日分前払いということで、お頼み申します」


「さて、さて腹がへったよ。確か俺は弁当を持って来た筈だ。
 風呂敷に包んで、首に巻いて・・・あった、ありましたよ。
 ここん処で弁当食べてもいいですか」
「どうぞ、どうぞ」

「あれッ、なんだい。包みを開けたら、風呂敷にヒモが付いてて
 変だと思ったら嬶の腰巻。で、弁当の代わりに枕がある。
 あん畜生、間違えたんだ。亭主に恥をかかせやがったばかりか、
 飯の食わせねえで日干しにするつもりかね。俺の日干しを
 どっかに売ろうってんだよ。帰ったらタダぁ置かねえ」


 「お嬶ぁ、今、帰った。何だって枕を腰巻に包みやがった

「私しゃ包まないよ。そこに置いてあったのをお前さんが勝手に持って行っちゃたんだよ
 まさか広げたんじゃないだろうね」
「ちゃんと広げたい」
「そんなこと威張るんじゃないよ。忘れていった弁当食べちまいなよ。
 慌てないで、よく落ち着いて・・・。食べたら外は埃っぽかったろうし、
 金坊連れて湯屋行っといでよ」
「分かったよ。金坊、お父っつぁんと湯に行こう」

嫌だいー!お父っつぁんと湯にくと、逆さに入れるんだもん
「たまにしか入れねえじゃねえか」
「たまにだって嫌だィ」

「さぁ、湯屋に着いた。お父っつぁんも着物を脱ぐから、金坊も、さっさと脱ぎな

「いけませんよ、又、あんたですか。駄目ですよ、ここで着物脱いじゃ
「何で脱いじゃいけねえんだ」
「いつも言ってるでしょ!ここは髪結床ですよ
「悪い!鏡の前に立つと、すぐ脱ぎたくなるもんで・・・」


「今度こど湯屋だ。さぁ、脱いだ脱いだ!
 何だな、お前、赤い帯なんか巻いちゃって、さっさと着物を脱いで
 ほ〜ら、裸になった」

何やってるんです、困るね、あんた。いま着せたばかりのうちの子供を
 脱がしちゃ
「こりゃ、どうも済みません。
 金坊、チョコチョコするんじゃないよ。間違えるじゃねえか。
 早くこっちへ来い、風呂入るぞ」


「金坊、こっちこっち。お父っつぁんがカラダ洗ってやるから。
 おやっ、この野郎、いつの間にか彫り物なんぞ入れやがって!
 尻を抓ってやる」

痛ぇ!何しやがる
「あっ、棟梁の尻ですか。どうも子ども尻にしちゃあ、
 毛が生えて汚ねえと思った・・」
「何ィ言いやがんでェ」


「ホラ、ホラ、お前がどっかへ行っちまったから、
 お父っつぁん怒られちゃったじゃねえか。
 さ、背中洗ってやるから。
 それにしても、ずいぶん肩幅が広くなったなぁ・・
 どこまで続くんだい・・」

いやぁ、お父っつぁん、羽目板洗ってらぁ


お後がよろしいようで。