夏の女(なつのひと)              With展 2016「ことばとアート」

文師・ハマダテツジ 絵師・飯田 茂

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爪紅(つまくれない)は鳳仙花 その昔」マニキュアみたいにこの花で 女は爪を染めたとか
    鳳仙花(ほうせんか)
    
    爪紅(つまくれない)に夕化粧
    それはどちらも 夏の花

    爪紅は鳳仙花 
    その昔マニキュアみたいにこの花で
    女は爪を染めたとか

白粉花は夕化粧 暑い午后から夕暮れに 咲くところから夕化粧
    夕化粧(ゆうげしょう)
    
    白粉花は夕化粧
    暑い午后から夕暮れに
    咲くところから夕化粧

風鈴涼やか釣り忍 浴衣姿のその女(ひと)は凛と黒髪美しい
    釣り忍(つりしのぶ)

    風鈴涼やか釣り忍
    浴衣姿のその女(ひと)は
    凛と黒髪美しい

夏の夜空に遠花火 忘れた頃に打ち上がる

    遠花火(とおはなび)
    
    夏の夜空に遠花火
    忘れた頃に打ち上がる

蝉の抜け殻空蝉は 儚さを短歌や俳句に読み込まれ 詫びと錆びとを醸し出す
    空蝉(うつせみ)
    
    蝉の抜け殻 空蝉は儚さを
    短歌や俳句に読み込まれ
    詫びと錆とを醸し出す

暑さを癒す打ち水は 尋ね来る人思いやる こころ優しきおもてなし

     打ち水
    
     暑さを癒す打ち水は
     訪ね来る人思いやる
     こころ優しきおもてなし

暖簾涼やか花氷 背筋伸ばしたその女(ひと)は 凛と黒髪美しい

     花氷(はなごおり)
     
                暖簾涼やか花氷
      背筋伸ばしたその女(ひと)は
      凛と黒髪美しい

夏の景色に美しい
     夏の景色に美しい

秋の女(あきのひと)              うわの空・アート展 2016

文師・ハマダテツジ 絵師・飯田 茂

海で拾った忘れ貝 陽光(ひかり)に翳(かざ)して眺めてた 愛のかけらね この貝は  悲しみ浮かべ独り言

海で拾った忘れ貝 
陽光(ひかり)に翳して眺めてた
愛のかけらねこの貝は 悲しみ浮かべ独り言

秋のはじめの昼下がり 海辺を歩くその女(ひと)の素足に波が寄せていた

秋のはじめの昼下がり
海辺を歩くその女(ひと)の素足に波が寄せていた

いっそ鴎になりたいと 見上げる空は昼の月 遠く見つめてその女(ひと)は翼ひろげて翔ぶ仕草

いっそ鴎になりたいと
見上げる空には昼の月
遠く見つめてその女(ひと)は翼ひろげて翔ぶ仕草

       

誰もいない その浜辺 取り残されたパラソルが強めの秋風(かぜ)に吹かれてた        

誰もいない その浜辺
取り残されたパラソルが
強めの秋風(かぜ)に吹かれてた

波音みたいに蘇る 二人でかわしたあの言葉 夏に燃やした熱い恋

波音みたいに蘇る
二人でかわしたあの言葉
夏に燃やした熱い恋

捨ててきたのに立ち止まり 帰り倦ねた夕間暮れ 女はいつしかシルエット

捨ててきたのに立ち止まり
帰り倦ねた夕間暮れ
女はいつしかシルエット

沈む夕日に 翔ぶ鴎

沈む夕日に
翔ぶ鴎